これから自分が作りたい家について
家を造る時、建築家の果たす役割は大きなものを占めます。施主の要望を聞き、その上で予算の管理、工務店、自治体と
のやりとりなどコミュニケーション能力が非常に重要になります。ただデザインをしていればいいのではない、建築家の
八面六臂の活躍があってこそ家は建ちます。日々の仕事を冷静にこなしながら、「自分の思う建築。」について、
真剣に考えている竹沢さんの姿がそこにありました。
「結局、家づくりも効率だけでやってるというのが、よくないのではと思います。均一化されたペターっとした空間よりは、
質感も形でも素材でも、人間にやさしい、建物に入ったときに心休まる空間はいいんじゃないかと思います。すごく力強さも
感じて温かみを感じて、木造は構造を見せることができて美しいですよね」「木材はあったかい材料という感じがするんです
よね、木組みの家というのは、同じ木でも合板よりも無垢の方がいいと思うんですよ、床のフローリングにしても無垢のフロ
ーリングと、合板のフローリングと比べると足に触れた時の感覚も無垢材は足にやさしくて」
素材を正直に使いたい
「材料は本物を使いたいなという気持ちはすごくありますね。張物とか、らしく見えるものというよりも、本物を使った家づくり
ですね。効率だけを追い求めるのではなくて。別に土とか木以外はダメっていう訳じゃないんですよ、金属とかRCとかでも興味は
ありますし、そういうのでもすごく良い表現というのはあると思うんですよね、それにしてもやっぱり正直に素材を使う見せると
いうことをしたいと思っています」
本物の素材が与える人への安心感。効率優先の今の時代、本物を見極める目を持つことは難しいものになってきています。今は豊
富な家づくりの情報に囲まれていますが、施主は家づくりでは素人です。そんな迷いやすい施主を導いてくれるのは本物を見極め
る事ができる目を持つ建築家。それが重要なのではと思いました。「素材を正直に使いたい」そう語る竹沢さんの姿は、普段の穏
やかな竹沢さんと同じように感じられて、またどこか違う静かで熱い印象を持ちました。