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安らぎのある空間
そんな竹沢さんに、はくれん舎のことを伺うと、「はくれん舎は予算の問題がありましたね。水土社(施工会社)さんも頑張ってくれました。
今回は、法規的に梁も見せられない、柱も見せられない、ボードを何枚も張りなさいって決められているので、その中でどれだけ村山事務所ら
しさを出せるかというのが、一番大変でしたね」
法規的にいろいろと決め事がある中での村山事務所らしさの表現。その村山事務所らしさとは?
「建物に入ったときの安らぎ感でしょうか?それは建物に入ってみて理解できることですよね。実際四角い部屋に入ったときと、村山が作った
建物に入ったときと、全然感じが違うんですよね。中に入ったときに、「あっいいな」と自然に思える。それは教えられたからではなくて、自
然と感じて理解してきた事なんですが」
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土壁仕様に決まっていたんです(笑)
そんな村山事務所らしさは、はくれん舎でどのように表現されているのでしょうか。
「うちの事務所でも最初どういう住戸の形にするかが問題で。オーナーさんから専用庭が欲しいという条件があって、それをひとつの場所に持
ってくると、プライバシーの問題が出てきて、これは好き嫌いが絶対に出てくるだろうと。これがオーナーさんにまず認められるかっていうのが
一番の難関じゃないかって。オーナーさんに話しをしたら、「いいんじゃないですかって」って言ってくれてオーナーさんの決断ですよね。(笑)」
「元々土壁をやりたいっていうのがあって、簡単なメンテナンスの方法があるっていうのを知ったので、クロスとは違う土壁の良さが出るのでは?
という意図でした。元々うちは左官が得意な事務所なので、うちでやるときには、「土壁」と決まっていたんですよ(笑)」
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工務店探し
村山事務所は神奈川県以西には工務店の心当たりがなく、当初建築家住宅を請け負ってくれる工務店探しは困難を極めました。
「土壁が得意な工務店を探す」。情報を求めて新宿にあるオゾンや、図書館の建築関係の本は片っ端から借りてきて神奈川以西にある
工務店を探す日々となりました。そんなとき「チルチンびと」という雑誌に小さく載っていたのが、小田原の水土社さんでした。
早速竹沢さんにそのことを伝えて、ファーストコンタクトを取ってもらうことになるのですが、そのときの村山事務所の竹沢さんと水土社さん
のやりとりは今でも笑い話になっています。
「水土社さんに見積もりの件で初めて電話したら『うちはビニールクロスを貼るような仕様はやらないよ。』と言われて、
なにを?(怒)こっちこそそんな仕様やったことねーよ!(笑)」みたいな。」おだやかに笑って話す竹沢さんは「ソフト筋金系」だと
そのときに確信しました。独自の世界を持って、建築の世界で生きてきた者同士が、
例えて言うなら一匹狼同士が山の中でばったり出会って
しまった感じなんでしょうか?と、竹沢さんにお聞きしたところ、苦笑いで返されてしまいました。
「でもあの電話で、水土社の岩越さんがああ言ったときに、この工務店はいい工務店だと確信しました。(笑)今はオーナーさんも村山事務所も工務店も
相乗効果で高めあっている感じがするのは、いいなあって思います。(笑)小田原の大工さんは、「なぜそうしたのか」ということを話すと、意図を汲んでくれて、
そっちの方向で考えてくれるので、助かります」
つづく
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